中井町へ遠足!トニーさんのポタジェガーデンと、たんじゅん農法の畑を見学

中井町へ遠足!トニーさんのポタジェガーデンと、たんじゅん農法の畑を見学

会員制コミュニティ農園「EdiblePark茅ヶ崎」のメンバーは、自分たちの畑で野菜を育てるだけではなく、他の農園を見学させてもらうこともあります。
今回は、EdiblePark立ち上げの時期に指導してくださった自然栽培農家の長谷享さん(以下、トニーさん)の畑を見るために、神奈川県足柄上郡中井町へ行ってきました。EdiblePark茅ヶ崎の「原点」といえる部分に大きな影響を与えたトニーさんの畑とは、どんなところなのでしょうか?

山の空気に癒される!中井町の畑の魅力とは

中井町は、神奈川県の南西部の町です。今回伺ったトニーさんの畑は、小田急線渋沢駅からしばらく車を走らせた山の上にあります。周辺では、みかんがたくさん栽培されていました。
山を切り開いているので、畑には緩い勾配があります。EdiblePark茅ヶ崎の平地の畑を見慣れているメンバーは、普段と違う風景にウキウキしながら足を踏み入れました。

トニーさんの畑

山々を望む絶好のロケーション。トニーさんの畑は広いので、ここに写っているのはほんの一部です。(2020年11月撮影)

もともとサラリーマンをされていたトニーさん。東日本大震災をきっかけに「食と農」のあり方について見つめ直すようになり、カフェの経営を経て、自然栽培農家の道を歩んでこられたそうです。

トニーさんの畑では無農薬・無化学肥料の「炭素循環農法」、通称「たんじゅん農法」で野菜を育てています。炭素を多く含む資材(木材を細かく砕いたチップなど)を土に混ぜ込むことで微生物を活性化させる農法です。詳しい説明はここでは割愛しますので、ご興味を持たれたらぜひ調べてみてください。

たんじゅん農法は、微生物が活性化してウッドチップが分解されるまでに時間がかかるので、化学肥料のようにすぐには結果が出ません。根気よく取り組む必要があります。
トニーさんの中井町の畑も、耕作放棄されていた場所を約3年かけて開墾し、大量のウッドチップを混ぜ込んで、だんだんと現在の姿になってきたとのことです。さらっとおっしゃるトニーさんですが、そこには多くの時間と労力がかかっているはずです。この土地を良い畑にしたいという強い想いがあるからこそ、できることだと感じました。

ウッドチップの分解について

混ぜ込んだばかりのウッドチップ(右側)と、年月がたって分解が進んだウッドチップ(左側)の違いを見せてもらいました。(2020年11月撮影)

「あるがまま」を受け入れる自然体の畑

トニーさんの畑は山が近いので、野生動物による被害を受けてしまうこともあります。イノシシやシカが畑に入り込み、作物を食べてしまうのです。食べ尽くされてほとんど実が残っていないアズキや、根こそぎ倒されてしまったナスの姿は衝撃的でした。

それでもトニーさんは、畑にやって来る動物を「敵」とは考えていません。
「イノシシが土をかき混ぜるから、ウッドチップがよく分解されるんですよ。もしかすると、そのために来てくれているのかもしれないですね。だから、ウッドチップがどんどん分解されて、ここの土がもっと豊かになったら、イノシシも来なくなるんじゃないかな?と思ってます」と、穏やかに語るトニーさん。
作物も動物も「あるがまま」を受け入れて、必要以上に手を加えたり、排除したりしない。そんな温かいまなざしを持つトニーさんの魅力に引きつけられて、多くの人が集まってくるのでしょう。

畑を歩くと、いろいろなところにトニーさんの想いが詰まっていることがわかります。
ハーブや野菜、果樹が寄り添うように植わっているポタジェガーデンでは、リンゴの木を守るように生えているフキの姿を見せていただきました。2本あるリンゴの木のうち、根元にフキが生えている1本だけが動物の食害を受けずに元気良く育っているのだそうです。植物どうし、あるいは植物と動物の関係性のおもしろさを感じました。

リンゴの木とフキを見せてくださるトニーさん

リンゴの木とフキを見せてくださるトニーさん。写真右側、ポタジェガーデンに設置された竹のブドウ棚はトニーさんのお手製です。(2020年11月撮影)

野菜エリアでは、「ウッドチップを土に入れるだけでこんなに育つの?」と驚いてしまうほど、野菜が立派に育っています。EdiblePark茅ヶ崎のメンバーもただただ感心するばかり。

2017年にEdiblePark茅ヶ崎がスタートしたとき、たんじゅん農法を教えてくださったのがトニーさんでした。最初の指導者であるトニーさんの教えは、今でもメンバーの中に深く刻み込まれています。
特に農法を定めず、いろいろなやり方を取り入れているEdiblePark茅ヶ崎ですが、今回じっくりとトニーさんの畑を見学したことで、「自分たちの目指したい姿」の一つとして再認識できたのではないでしょうか。

人の背丈をはるかに超える大きさのオクラ

人の背丈をはるかに超える大きさのオクラに圧倒されます。(2020年11月撮影)

トニーさんのたんじゅん野菜を買う方法は?

CSA(※)の会員になると、トニーさんが育てた野菜を受け取ることができます。会費や申し込み方法などの詳しい情報は、トニーさんが中心となっているプロジェクト「TONY’S」のサイトをご覧ください。

※CSA:Community Supported Agricultureの略。「地域支援型農業」とも呼ばれます。農家さんに代金を前払いして、定期的に農作物を受け取る仕組みのこと。

一人一人が受け取った「畑からのメッセージ」

トニーさんの畑を訪れたEdiblePark茅ヶ崎のメンバーに、この日の感想をお聞きしてみました。

「あらためて『その土地と共に暮らす』ことの大切さを感じました。その土地が育んでくれた作物をいただき、それをまたその土地に返してという暮らしこそがあるべき姿であり、人間も大自然の一部だと。
この地域には縄文時代にたくさんの集落があったそうで、きっと1万年前も人々が同じような景色を眺めていたのだろうと、当時の情景に思いをはせながら1日を過ごしました」

「トニーさんの畑は、イノシシの洗礼をうけ、さらに成長していくのでしょうね。荒らされているというよりも、土をかき混ぜてくれていると前向きに捉えているところにトニーさんらしさを感じました。
ポタジェガーデンは、みずみずしかったですね。果樹が5m毎に配置されて、下草のハーブと共生しながら育っていく感じでした。美しいグリーンが目に鮮やかで、うっとりするハーブの香りで癒やされました。今回いただいたミモザでリースを作り、自宅に飾っています。ミモザは枝が割れなくて、しなりやすいので、リースに最適ですよ。葉と実の細工がきれいでずっと見てしまいます。
EdiblePark茅ヶ崎にも少しずつハーブを植えているので、トニーさんのポタジェガーデンみたいな姿を目指したいですね」

トニーさんの畑でいただいたミモザのリース

トニーさんの畑でいただいたミモザで作ったというリース。天然の材料で素敵な小物をぱっと作れるのも、EdiblePark茅ヶ崎メンバーのすごいところ。(2020年11月、メンバーのなみさん撮影)

中井町のトニーさんと、EdiblePark茅ヶ崎。フィールドは離れていても、これからも交流を続けながら、お互いますます発展していけたら良いなと思いました。次はEdiblePark茅ヶ崎で、トニーさんがびっくりするような野菜を育てましょう!


今回の取材にご協力いただいた、トニーさんのサイトはこちらから。
TONY’S


EdiblePark茅ヶ崎のことも気になるという方は、こちらの記事もぜひご覧ください。
食と農を合言葉につながるコミュニティ「EdiblePark茅ヶ崎」の活動を紹介します!

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