Green Rhythm代表のコジマが食と農についてゲストとゆるく深く語り合うコーナー。前回に引き続き、友人のシェフ・亜妃琉まことさんと、調理技術のレベルアップについてじっくり考えます。
調理技術ってなんだか難しそう?と思われるかもしれませんが、考え方がわかってくると、手を動かしてみたくなりますよ。最終的には、フードロス削減にもつながるかも・・・!
「料理の”理”は理屈の”理”」と語る、あひるシェフの脳内を、ぜひのぞいてみてください。
横濱ワイナリーでのあひるシェフ。冬は、おつまみにあったかいおでんが登場します。(2020年11月撮影)
構成要素を理解すれば、ポン酢だって作れる!
コジマ:前回の「ゆる深トーク」では、調理の基礎について、あひるシェフの自費出版レシピ本を見ながらお話ししました。その中で出てきたのが「食の因数分解」、つまり「構成要素を理解する」ということでしたね。
(※前回のトークはこちらからご覧ください)
あひるシェフ:そうですね。今回は応用編ということで、実際に因数分解するとどうなるのか説明していきましょう。まずは「ポン酢」ってご存じですよね?
コジマ:もちろん!どこの家庭にも1本はあると思います。これからの季節は湯豆腐や鍋に大活躍ですよね。
あひるシェフ:ポン酢を因数分解すると「酢」「醤油」「だし」「柑橘の果汁や皮」となります。そこに「煮切った酒、またはみりん」が入ることもありますね。
コジマ:なるほど。普段は意識しないでポン酢を使ってますけど、解説してもらえるとわかりやすいです。
あひるシェフ:じゃあ、湯豆腐を食べようと思ったらポン酢がない!というとき、どうします?
コジマ:あ、そうか!コンビニに駆け込んでポン酢を買ってこなくても、さっきの材料を混ぜればいいんですね。
あひるシェフ:そういうことです。ちなみに「めんつゆ」は「醤油」「だし」「煮切った酒」からできているので、「めんつゆ+酢」とか「めんつゆ+柑橘」だけで、即席のポン酢ができあがりますよ。柑橘はお好みのものを使えばいいと思います。柚子やレモンがあれば削って入れてもいいし、濃縮レモン汁でもいいですよね。
コジマ:自分でいろいろなポン酢が作れると考えると、なんだか楽しくなってきますね。
あひるシェフ:因数分解したものをもう一度組み合わせていくとき、自分なりにアレンジすることもできるんです。神奈川なら湘南ゴールドとか、ご当地の柑橘を使ってみるのもありですね。
コジマ:因数分解の必要性と、おもしろさがだんだんわかってきました!
あひるシェフのレシピ本には、調味料をていねいに解説してくれるページもあります。
「何のためにやるの?」を理解することが大切
あひるシェフ:因数分解にプラスして、もう一つ大切なのが「意味を考えること」です。さっき、ポン酢やめんつゆの構成要素として「煮切った酒」と説明しましたよね。「煮切る」ってどういうことでしょう?
コジマ:うーん、加熱するってことですか?
あひるシェフ:厳密には「アルコールを含む調味料を加熱して、アルコールを飛ばすこと」を指します。ポン酢に料理酒やみりんを入れる意味は、うま味や甘みが欲しいからです。アルコールを入れたいわけじゃないですよね。
コジマ:だから、お酒くさくならないように煮切るんですね。
あひるシェフ:その通りです。アルコールが残ってしまうと、お酒の苦手な方やお子さんは食べられなくなります。
コジマ:なるほど。意味をきちんとわかっていれば、煮切るのを忘れることもないですね。
あひるシェフ:もう一つ、例を挙げます。カツを作るとき、具材につけるものといえば?
コジマ:小麦粉と、溶き卵と、パン粉です。
あひるシェフ:オーソドックスな作り方は、そうですね。でも、僕が飲食店で働いていた頃、まかないでチキンカツを作ろうとしていた先輩に、卵を溶いておきましょうか?と聞いたら「いらないよ」と言われたんです。
コジマ:えっ、卵を使わずにチキンカツを作ったんですか?
あひるシェフ:そうです。じゃあここで、「小麦粉」「溶き卵」「パン粉」の意味を考えてみましょう。
パン粉:「衣」の部分
溶き卵:「衣」を肉にくっつける「のり」
小麦粉:「のり」が剥がれないようにするための補強
これを見て、何か気付きませんか?
コジマ:つまり、「のり」の役目を果たせるものがあれば、溶き卵がなくてもいいってことですか?
あひるシェフ:正解です。そのとき先輩は、水で溶いた小麦粉を「のり」にすることで、卵を使わずにチキンカツを作ったんですよ。普通のチキンカツと食べ比べても、遜色なかったですね。もちろん、お客様に出す料理でそういうことはしませんが。
いかに少ない要素でおいしく作るか、まかないで学んだことは多かったです。
コジマ:意味がわかっていれば、一つのやり方にこだわらなくても、別の方法を探せるということですね。家庭料理でも役立ちそうです!
あひるシェフが作るお料理の数々。味はもちろん、見た目も華やか。(2019年4月撮影)
理解したら、いざ実践!
コジマ:今回は、調理技術を磨くために重要な「因数分解」と「意味を考えること」について、具体的なお話をいろいろ聞けて、すごく勉強になりました。
あひるシェフ:理屈を知った上でたくさん実践することが、上達への道だと思います。数をこなしていくと、「料理を作るために決まった材料を買ってくる」という考え方から、「今ある材料を使って柔軟な発想で料理を作る」という考え方にステップアップできます。
コジマ:なるほど。目の前にあるものをうまく使うことができれば、食材や調味料を余らせることもないし、消費期限や賞味期限の近いものから食べていけるので、フードロスを減らすことにもつながりそうですね。
あひるシェフ:レパートリーも、ぐんぐん広がると思いますよ。
コジマ:「料理の理屈を学ぶ」って大変かなと思いましたけど、一歩踏み出してみると、知れば知るほどに楽しくなってきました。
あひるシェフ:次回は実践編として、さらに突っ込んだ話をしていこうと思います。僕が実際の現場で遭遇したピンチと、それをどうやって乗り切ったのか?などです。
コジマ:ピンチのときにも調理理論が役に立ったんですね。どんなトークになるか、楽しみです!
次回もよろしくお願いします。
〜つづく〜
あひるシェフのレシピ本はこちら。
【for YOU Kitchen 〜今日はだれとゴハンしよう?〜】
著 亜妃琉まこと
製作 Atelier More
初版発行 2013年11月20日
※レシピ本の著作権は、亜妃琉まことさんにあります。画像や本文の無断転載はご遠慮ください。
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