シェフに「食育」を聞いてみた〜あひるシェフとゆる深トーク vol.3〜

シェフに「食育」を聞いてみた〜あひるシェフとゆる深トーク vol.3〜

Green Rhythm代表のコジマが食と農をテーマにゲストと語り合う「ゆる深トーク」。
今回は、ゲストに友人のシェフ・亜妃琉まことさんをお迎えして、誰もが知っているのに、実はあまり意識していないかもしれない「食育」について語り合います。

「食育」と聞くと、なんだか難しそうだと思われるかもしれません。でも、あひるシェフは「身構えなくていいし、特別に手間をかける必要もない」と語ります。さて、どんな「食育トーク」が始まるのでしょうか?

食育とは「食の教養を身につけること」

コジマ:今回も「ゆる深トーク」へのご参加、ありがとうございます。今回のテーマは「食育」。この言葉を知らない人はほぼいないと思いますが、普段から食育を意識していますか?と言われると、悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。

あひるシェフ:「食育」は、かなり広いテーマですよね。日本では「食育基本法」という法律が2005年に施行されました。その中で食育は「生きる上での基本」とされています(※1)。言ってみれば「生きることは食育」です。

※1 「食育基本法」(農林水産省)

コジマ:その通りですね。食材や調理方法について勉強するのも、食事のマナーを身につけるのも、畑で野菜を育てるのも、全てが食育だといえます。その上であえて聞きますが、あひるシェフが考える食育とは、どういうことでしょうか?

あひるシェフ:僕は「食に関する教養を身につけること」だと思っています。食文化、地産地消の意義、衛生面、食事のマナーなど、学ぶべきことはたくさんあります。

コジマ:たしかに、教養は大事ですね。

あひるシェフ:ただ、あまり難しく考えて身構えないほうがいいと思うんです。「食育」って、ちょっと言葉が堅いんですよね。「スローフード」の方が現代人向けかもしれません。
僕はイタリアンの料理人なので、イタリアのことをたくさん勉強したんです。その中で、スローフードという考え方があることを知りました。イタリアはスローフード発祥の地なんですよ。

コジマ:スローフードというと、ゆっくり、よく噛んで食べようってことですか?

あひるシェフ:もちろんそれもありますが、それだけではないんです。もともとスローフードは、ファストフードの広まりを受けて、その反対をいく運動として立ち上がりました。そこには「ゆっくり食べる」ことだけでなく、食に関する幅広い活動が含まれています。例えば、前回のゆる深トークで取り上げたフードロス(食べ物が捨てられてしまうこと)なども、スローフードのテーマの一つですよ(※2)。

※2 日本スローフード協会のWebサイトより

コジマ:そうだったんですか!初めて知りました。

あひるシェフ:「スローフード」だと思うと、とっつきやすいですよね。まずは親御さんがお子さんと一緒に何かやってみようかな?くらいの気持ちから始めるといいと思います。

EdiblePark茅ヶ崎で育てた野菜

例えば、野菜を自分で育てて収穫すると、どんな料理を作ろうかと考えるのも楽しくなります。(写真はEdiblePark茅ヶ崎にて、2020年8月撮影)

食育は、家庭の食卓から

コジマ:「お子さんと一緒に」というキーワードが出てきましたが、やっぱり家庭における食育は重要だと思いますか?

あひるシェフ:そうですね。食育の第一段階は家庭だと思います。子どもの周りにいる大人がお手本になるのが一番ですよね。学校の給食で教えられることは、家庭に比べれば少ないんじゃないかと思います。

コジマ:家庭での食育って、どうしたらいいんでしょうか?

あひるシェフ:「食育をしなきゃ」と気負わなくていいんです。家庭での食育は、子どものためにごちそうを作って食べさせてあげることではないんですよ。
料理研究家の土井義晴先生は「一汁一菜でよい」「家のご飯はおいしく作らなくてもいい」とおっしゃっています。僕もそう思いますよ。

コジマ:おいしく作らなくてもいい!それは意外ですね。

あひるシェフ:なぜかというと、「おいしいものをがんばって作らなくてはいけない」と思うと、料理することが負担になってしまうからなんです。負担に感じながらやっていても、長続きしないですよね。

コジマ:私も最近料理をするようになったので、「張り切りすぎると疲れる」というのはわかる気がします。

あひるシェフ:服部幸應先生もおっしゃっていることなんですが、スーパーで買ってきたお惣菜でもいいから、一品の料理として家庭の食卓に並べてほしいんです。
例えば、コロッケをパックのまま出すのではなく、お皿に盛り付けるとか。キャベツも、自分で包丁を使って切れとは言いません。千切りになったキャベツを買ってきてもいいんです。ただ、それをちゃんとお皿に出して、コロッケに添える。それだけでも、子どもにとっては「親が作ってくれたもの」になるんですよ。子どもは、わずかな違いにも敏感なんです。だから、家庭での食育って、そういうちょっとしたことが大切なんだと思います。

コジマ:なるほど!「目からウロコ」です。

あひるシェフ:あと、服部幸應先生がおっしゃっていたのは、味噌汁だけでも作ってあげてほしいということですね。それが家庭の味になるんです。だし入りの味噌でも全然かまわないんですよ。

コジマ:たしかに、味噌汁の味って記憶に残りますよね。私は会社員時代、出張でしばらくホテルに泊まっていたことがあって。毎朝バイキングで味噌汁を飲んでいたんですが、自分の家の味噌汁が恋しかったです。そういう気持ちって、すごく大事なのかもしれないですね。

ごはんと味噌汁が食事の基本

ご飯と味噌汁が食事の基本。まずはここから、と考えれば気が楽になります。(写真は栃木県茂木町の「森と里のつながるマルシェ」にて、2019年11月撮影)

食育で大切にしたいことは?

コジマ:あひるシェフとお話ししたことで、食育についての考えがだいぶ整理されてきた気がします。 大切なのは、食事を作る人が心をこめて作ること。じっくりと手間をかけて料理をするのが絶対というわけではなく、買ってきたお惣菜にも心はこめられるということを今回教わりました。

あひるシェフ:「食品」と「料理」の違いって、そこじゃないかと思うんですよ。「食品」が「人間が口にしてもお腹を壊さないもの」とするならば、「料理」はそこに心がこもっているものといえます。

コジマ:だからこそ、食べる人は感謝して食べることが大切ですね。

あひるシェフ:そうですね。食材となった動物や植物、それを育ててくれた人、運んでくれた人、料理してくれた人。そこに至るまでの全ての命に感謝する気持ちがあるといいですね。
「いただきます」「ごちそうさまでした」という言葉には、そういう気持ちが表れていると思います。いろいろな意見があるとは思いますが、僕は「いただきます」と「ごちそうさまでした」をきちんと言う方がいいと考えています。その理由を大人が教えるのも、食育の一つですよね。

コジマ:私もそう思います。「いただきます」「ごちそうさまでした」は、「食べること」の根っこにある言葉ですね。大人になると時間に追われていたり、人前で言うのがなんとなく照れくさかったりして、言わずに済ませてしまうことも多くなりますけど。

あひるシェフ:口には出さなくても、心の中で言うのもありですよ。みんなが、そういうことをちゃんと考えられる人になれたらいいなと思います。それが食育の意味なんじゃないでしょうか。

コジマ:おっしゃる通りですね。今回のトークでは私自身も、新たに気づいたことがたくさんありました。今後も勉強を続けていきたいと思います。
あひるシェフ、今回も本当にありがとうございました!またいろいろなテーマでお話ししたいと思っていますので、次回もよろしくお願いします。


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【参考サイト】
・日本スローフード協会

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