「ゆる深トーク」は、Green Rhythm代表のコジマがゲストと語り合うコーナーです。食と農に関するテーマについて、ゆるく、でも深く取り上げていきたいと思います!
今回のゲストは、友人のシェフ・亜妃琉まことさん。調理師の専門学校を卒業後、イタリアンレストランやカフェバーで経験を積み、フリーランスの料理人として独立されました。
王道のイタリアン、和のテイストを取り入れたもの、あっと驚くような遊び心のある一品まで、常にお客様に喜んでもらうための工夫を凝らした料理を作っています。
明るく丁寧なトークで、多くのお客様から「あひるシェフ」と慕われている亜妃琉さん。さて今回は、どんなトークが飛び出すのでしょうか?
ご自身の誕生日イベントで「あひる」の格好をしてお出迎えする、あひるシェフ。こういうユーモアも、慕われる理由の一つ。(2019年5月撮影)
「横濱ワイナリー」で活躍中!
コジマ:「ゆる深トーク」へのご参加、ありがとうございます。初回なので、あひるシェフがいつもどんなことをしているか、教えてください。
あひるシェフ:みなとみらい線「元町・中華街」駅から歩いて3分くらいのところにある「横濱ワイナリー」で、店舗運営をしています。お店では、横濱ワイナリーで作られたワインを購入していただけるだけでなく、グラスで試飲もできますよ(※試飲は有料となります)。
今は新型コロナウイルスの影響もあって、週末中心の営業になっているんですが、前は平日もお店を開けていました。
コジマ:横濱ワイナリーには、私も何度も行ったことがあります。横浜で唯一のワイナリーで、さらに「日本で一番小さな、一番海に近いワイナリー」ですよね。
あひるシェフ:そうです。こじんまりしたお店ですが、その中でワインを醸造しています。僕は醸造作業にも関わっているし、最近では自社農園でブドウの栽培もやっているんですよ。
コジマ:横濱ワイナリーを中心に大活躍ですね。あひるシェフのお料理を食べたいときは、どうしたらいいですか?
あひるシェフ:横濱ワイナリーでは、予約制でイートインやテイクアウトを承っています。予算や内容はご希望に応じますので、まずはご相談ください。
コジマ:わかりました!
イートインでは、横濱ワイナリーのワインとともに、あひるシェフのお料理を楽しめます(写真はメニューの一例です。詳しくはお問い合わせください)。(2019年4月撮影)
2019年の「サルベージクッキング」を振り返って
コジマ:食と農に関するテーマといってもいろいろありますが、今回はフードロス(食べ物が捨てられてしまうこと)を取り上げていきたいと思います。というのも、去年、あひるシェフとコジマの共同主催という形でフードロスに関するイベントをやったんですよね。
あひるシェフ:まだ食べられるのに、家庭では余っていて、そのままだと捨てられてしまうかもしれない・・・という食材を持ち寄って調理する「サルベージクッキング」のイベントですね。横濱ワイナリーを会場として使わせてもらいました。
コジマ:私が「0円キッチン」(※1)という映画にすごく感銘を受けて、あひるシェフに話したのがきっかけでしたね。
イベントでは、持ち寄ってもらった食材の調理をあひるシェフにお任せして、参加者の方々にも調理過程を見学してもらったり、イベントのタイトルをみんなで考えたりしました。見事に生まれ変わったお料理の試食タイムでは、みんな「おいしい!」の連続でした!
※1 映画「0円キッチン」:ジャーナリストで“食料救出人”のダーヴィドが食料廃棄をなくすため、廃油で走るキッチン・カーでヨーロッパ5ヶ国を巡り、廃棄食材クッキングの旅に出るエンターテイメント・ロードムービー。
(配給:ユナイテッドピープル 2015年/オーストリア/81分)
サルベージクッキングで集まった食材の数々。トマトソースやイワシの缶詰などの保存食は、意外と持て余してしまいがち。他には、賞味期限間近の餃子の皮、黒くなったバナナ、芽が出てしまったジャガイモなど。(2019年5月撮影)
あひるシェフ:そうそう、あのときはイワシの缶詰と明日葉を入れた餃子が特に好評でしたね。餃子は缶詰やペーストなどを入れられるし、野菜も使えるので、余りものを消費するメニューとしておすすめですよ。
家庭でも作りやすくて、「中身が何なのか食べてみるまでわからない」というお楽しみ要素もありますから。
コジマ:なるほど!あの餃子、すごくおいしかったです。「こんな風においしく生まれ変わるんだ」ということがわかると、自分でも作ってみたくなりますね。
調理法を知ることで食材の活用の幅が広がれば、フードロスを減らすことにつながります。サルベージクッキングは、おいしく食べながらフードロスについて考えることができる、良いイベントだと思いました。
イワシ缶詰と明日葉の揚げ餃子。断面図はこんな感じです。缶詰の汁も入れてあるので、衣はサックリ、中身はジューシー!箸が止まりません。(2019年5月撮影)
日本のフードロスは年間612万トン!なぜそんなに出てしまう?
コジマ:もう少し、フードロスについて掘り下げてみたいと思います。平成29年度の推計では、日本のフードロスは年間612万トン。年間1人あたりのフードロスは48kgにもなるそうです(※2)。なぜ、こんなにもフードロスが多いんだと思いますか?
※2「令和2年版 ⾷品ロス削減関係参考資料」(消費者庁)より
あひるシェフ:これは僕の考えですが、日本では今、たくさん食べ物を作らなくてもいいはずなんです。人口が減っているわけですから。
それなのに、外国からわざわざたくさんの食料を輸入して、捨ててしまっている。なぜこういうことが起こるのかと考えると、「意識」の問題ではないかと思います。飲食店やスーパー・コンビニは、食べ物が売れるかどうかわからないけど、売るために用意しておかなくてはいけない。消費者は、食べ切れるかどうかわからないけど、無くなったら不安だから買っておく。そういう考えの人が多いんじゃないでしょうか。もちろん、全員ではないと思いますが。
コジマ:なるほど。「絶対に、今すぐ必要」とは限らない食料を「確保しておかなくてはいけない」という意識がフードロスを生むと考えると、わかりやすいです。そういえば、緊急事態宣言が出てからしばらくは、食料の買い占めも話題になってましたね。
あひるシェフ:でも、食べ物があれば安心できるかというと、決してそうでもないと思うんですよ。
コジマ:その通りです!私も、緊急事態宣言のときに痛感しました。
ところで、外出自粛の影響で自炊率が上がったという話を聞きますけど、フードロスはどうなったんでしょうか?
あひるシェフ:実際に調べてみたわけではないですが、フードロスは減ったんじゃないかと思いますよ。ずっと家にいれば、食べ物を放置して腐らせてしまうこともないし、家にあるものをきちんと使い切ろうとすると思うので。
コジマ:確かに。あとで食べようと思ったけど、仕事が忙しすぎて帰宅が夜遅いので食べられない。それが何日も続いて傷んでしまった・・・なんていうことは、在宅勤務だったら起こらないですね。
あひるシェフ:現代人が忙しすぎるのも、フードロスを生み出す原因の一つだと思っています。忙しいと、一食一食のありがたみが薄れてしまうんですよね。とにかくお腹がいっぱいになればいいやという気持ちになってしまう。
コジマ:わかります。食べ物のありがたみを感じて食べることってすごく大切ですよね。
そう考えると、今必要なのは、一人一人が「食」に対する意識についてじっくり考え直すことなのかもしれないですね。毎日忙しくても、ほんの少しフードロスのことを考えてみるだけで、行動は変わってくるんじゃないでしょうか。それは、自分自身の精神的な豊かさを見つめ直すことにもつながると思います。
〜後編に続く〜
後編では、8/8から公開予定の映画「もったいないキッチン」(「0円キッチン」の続編)を鑑賞して、その感想についても語ったりするかもしれません!?
あひるシェフがいるお店はこちら。
【横濱ワイナリーへのアクセス】
〒231-0801
神奈川県横浜市中区新山下町1-3-12
TEL 045-228-9713
みなとみらい線「元町・中華街」駅下車 元町口出口より徒歩3分
※新型コロナウイルスの影響により、横濱ワイナリーの営業時間は変則的となっています。お出かけの前に、Facebookページで最新情報をご確認ください。
横濱ワイナリーのFacebookページはこちら
※通販で横濱ワイナリーのワインを購入できます。
横濱ワイナリーのサイトはこちら