「在来種」という言葉をご存じでしょうか。
定義は必ずしも明確ではないようですが、「ある土地で昔から育てられてきた作物」のことを指します。
その土地の気候風土に合った特徴を持っていますが、大きさや形が不揃いになってしまうなどの理由で、市場には出回らないことが多いのです。
最近では農家さんの後継者不足などにより、姿を消しつつある在来種も少なくありません。

そんな在来種を未来へつなげる活動をされている「ナチュラルフード森の扉」さんのイベントに参加してきました。
舞台は足尾。栃木県の日光市(旧足尾町)です。

唐風呂大根とは?

今回は、唐風呂大根という在来種の大根を収穫するイベントでした。
足尾の唐風呂地区にしかないという珍しい大根です。見事な赤い色をしているのですが、他の地域で育てると赤い色がなくなってしまうというのですから、不思議です。まさに「足尾の奇跡」といえるのではないでしょうか。

ナチュラルフード森の扉さんでは、唐風呂地区の農家さんにご協力をいただき、種を植えるところからずっと唐風呂大根を見守る活動をされてきました。
豪雨で種が流れてしまうなどのトラブルもありましたが、努力が実を結び、こうして収穫のときを迎えることができたそうです。


畑の様子。ここに見えている葉っぱが唐風呂大根です。
よくよく見ると、緑の葉っぱに混ざって、紫色っぽい葉っぱがあるのが分かりますでしょうか?
これは後ほど写真でご説明します。

いざ、収穫

10人ほどの参加者で大根を収穫しました。
スーパーで見かける大根よりは少し小ぶりですが、慣れていない人にはそれでも大ごとです。
「抜けない!」などと言いながらも、わいわい楽しく収穫していきました。


これが唐風呂大根です!きれいな赤い色をしています。
大根の「身」以外の部分も赤紫色ですね。これは、さっきの畑の写真のように、上から見ても紫色に見えていたものです。


こちらは別のもの。「身」以外の部分は緑色です。上の写真の大根とはまるで違う野菜のように見えますね。

このように、同じ畑で同じように育てていても見た目がバラバラになってしまうのは、在来種ならではです。
おそらく、もともとの遺伝子が多様なので、あるものは葉っぱにまで赤色の特徴が強く出て、あるものは身にしか赤色が出ないということになるのでしょう。
これらの中から、よりよい特徴を持ったものを選び出し、種を採って次世代につなげていきます。地道だけど何よりも大切な作業を、かつての農家さんはずっと繰り返してきたのですね。

これからのために、種を守る

もちろん今回も、種を来年以降につなげるための作業を行いました。


いったん掘り起こした大根の中から、「これぞ唐風呂大根」という特徴を持ち、よく育ったものを選び、土に埋め直します。
参加者の一人である栃木県茂木町の自然栽培農家さんが、見事なクワさばきで溝を掘るところから埋めるところまでやってくださいました。
土に埋めるのは、冬の寒さで大根が凍ってしまわないようにするためなのだとか。

ちなみに、唐風呂大根の本来の特徴は、
・葉っぱは緑
・葉と根の間の部分は紫(赤)
だそうです。

冬を越して春を迎えると、ここから花が咲いて、種ができるそうです。できれば、その姿も見てみたいものですね。
また来年も、唐風呂大根が立派に育つことをお祈りしております。

おわりに

在来種は、日本各地にたくさん存在しているはずですが、その地域以外ではほとんど知られていないことが多いようです。
もし興味を持たれたら、ぜひ、ご自分の住んでいる地域の在来種について調べてみてください。

また、足尾といえば、かの有名な足尾銅山を抜きにしては語れません。
今回のイベントでも銅山の話をお聞きする機会があり、公害問題についてあらためて深く考えさせられました。
そのあたりも、いずれどこかでお話できればと思います。

最後になりましたが、今回のイベントを企画してくださったナチュラルフード森の扉さん、そして、唐風呂大根を育ててくださったみなさま、ありがとうございました。

唐風呂大根について詳しく知りたい方はぜひ、ナチュラルフード森の扉さんのブログをご覧ください。
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