(2022年5月追記)「Kanoco BEER & MARCHE」さんは2022年4月に閉店されました。現在は営業していませんのでご注意ください。この記事は過去の情報としてご覧いただけますと幸いです。
たね(種子)をつなぎ、感謝がつながるプロジェクト「Share Seeds」。この活動に賛同して、固定種のたねをシェアできる「たねBOX」を置いてくださっているお店をご紹介します!
今回は、小田急線新百合ヶ丘駅から徒歩16分の場所で、クラフトビールとワインを販売されている「Kanoco BEER & MARCHE(カノコビア & マルシェ)」さんを訪ねました。
代表の飛永かの子さんに、クラフトビールのお話や、たねBOXを始めたいきさつなどをお聞きします。
鮮やかなのぼりが目を引く、Kanoco BEER & MARCHEさんの外観。閑静な住宅街にあるので、のんびりお散歩しながら訪れるのも良さそうです。(2020年10月撮影)
かわいいクラフトビール、おしゃれなワインが勢揃い
お店に入ると、ビールやワインの瓶がずらり。その中でも真っ先に目に飛び込んでくるのが、オリジナルのクラフトビール「Kanoco BEER」です。ビールの名前は、かの子さんのお名前からとっています。かの子さんが開発したレシピを使い、長野のビール会社の醸造所で作られているそうです。
もともとワインが好きで、ワインの勉強をしてきたというかの子さん。J.S.A(日本ソムリエ協会)の「シニアワインエキスパート」という資格をお持ちです。
どうして、ワインではなくビールを作ることにしたのですか?とお聞きしてみると、「ワインみたいに、いろいろな香りを楽しめるビールがあるといいなと思ったんです」と答えてくださいました。
ビールはグビグビ飲み干すイメージがあるかもしれません。でも、かの子さんが作っているのは「ゆっくり飲むビール」。さまざまなスパイスで香りづけをした、豊かな味わいのビールです。
紅茶とゆずと山椒が香る新商品の「ヤマブキエール」を試飲させていただきました。
ヤマブキエールの瓶。思わず手に取りたくなる、かわいい白鳥のラベルが特徴です。(2020年10月撮影)
まず一口目に感じたのは、「とても優しい味」でした。苦味が少なくて、ふんわりとまろやか。その中に、複雑なスパイスの香りがほのかに現れます。 ビールの苦さがあまり得意ではない人にも飲んでもらえるのではないかと思います。実はコジマも普段はあまりビールを飲まないのですが、こちらのヤマブキエールはすごく好みだったので、自分用やプレゼント用に買いました。
お店には、かの子さんが選んだ世界各地のワインも並んでいます。日本のブドウで作られた日本ワインもあります。
取材に伺った日は、常連さんが続々と来られてビールやワインを買っていかれました。かの子さんとじっくり会話しながら、これぞという1本を探してみるのも良いのではないでしょうか。
Kanoco BEER & MARCHEさんの「たねBOX」を拝見!
お店の棚の一角にある「たねBOX」では、たくさんの「たね」がシェアされています。和綿、唐辛子、麦、オクラ、かぼちゃ、豆類、葉物など。同じ野菜でもいろいろな品種があって、初めて見た!と驚くようなものも。
さまざまな品種の野菜があることを知ったり、見たことがないような「たね」を発見したりできるのも、たねBOXの醍醐味ですね。
Kanoco BEER & MARCHEさんの「たねBOX」。どんな「たね」があるのかな?と見るだけでもわくわくします。(2020年10月撮影)
たねBOXには、その場所に集った人たちの想いが詰まっています。あちこちでたねBOXを見てきましたが、それぞれに個性が出ていて、眺めているだけでも飽きないものばかりでした。
「たね」は植物がつなぐ物語であり、人々がつなぐ物語でもあるのだと思います。
今回は、こちらのたねBOXにぜひ加えていただこう!ということで、コジマが自家採種したパセリを持参しました。新たな土地へと旅立って、元気に育ってくれることを祈っています。
持参したパセリの「たね」。たねBOXの仲間に加えていただきました。(2020年10月撮影)
※シェアできる「たね」は、登録品種ではない固定種のみです。詳しくはShare Seedsのサイトでルールをご確認の上、ご参加ください。
Kanoco BEER & MARCHEさんの「Share Seeds」への想い
ビールやワインに加えて、「たね」についての深い知識もお持ちのかの子さんに、お話を伺いました。
ーー「たね」に興味を持たれたきっかけは何だったのでしょうか?
かの子さん:以前から植物が好きで、緑地保全活動などに関わったり、自分で野菜を育てたりしていました。そのうちに岡本よりたかさん(※1)の本と出会って「たね」に興味を持ちました。
最近では小林宙さん(※2)のように、伝統野菜を絶やさないためにがんばっている若い方もいらっしゃるので、心強いですね。「たね」をつなぐのはとても大切なことなので、継いでくれる方がいてくれるといいなと思います。
※1 岡本よりたかさん:無肥料栽培家、環境活動家。「種は誰のものか?」(キラジェンヌ株式会社)など、「たね」を守る活動に関する本も執筆されている。
※2 小林宙さん:中学3年生のときに、「たね」の流通・販売を手がける「鶴頸種苗流通プロモーション」を起業。著書は「タネの未来〜僕が15歳でタネの会社を起業したわけ〜」(家の光協会)。
ーーなるほど。こちらでシェアされている「たね」は、埼玉県川越市の加藤さんという方が自家採種されたものが多いですが、どういうご縁があったのでしょうか?
かの子さん:あるとき、パーマカルチャーに詳しい友人の紹介で加藤さんと知り合いました。お話ししているうちに、加藤さんが「Share Seeds」の活動に積極的に参加されていることを知ったんです。
たねBOXについても教えてもらい、ぜひお店に置きたい!と言っていたら、加藤さんが「たね」をギフトしてくださいました。
ーー同じ分野に興味を持っている人同士は、自然とつながるものなんですね。「たね」について、今後やってみたいことなどはありますか?
かの子さん:場所があれば、子どもも大人も一緒になって固定種の「たね」をまいたり、苗を育てて配ったりする活動をしてみたいです。どこかで何かのきっかけがないと、固定種の「たね」を守ることの意味を知らずに過ごしてしまうことが多いと思うので。
少しでも「たね」の話をしておけば、いずれ興味を持ってくれる人がいるかもしれないですよね。みんなが「たね」に興味を持って、自分のできる範囲でちょっとずつ活動してくれるようになったらいいなと考えています。
ーーありがとうございました!Kanoco BEER & MARCHEさんのたねBOXから、「たね」の輪が広がっていくことを願っています。ビールやワインのお話もまたじっくり伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
お店の内観。お酒だけではなく、ところどころに飾ってある小物や絵本を眺めるのも楽しいです。(2020年10月撮影)
おわりに
たねBOX設置を働きかけてくださった加藤さんから、Kanoco BEER & MARCHEさんへのメッセージをいただいたのでご紹介します。
「Kanoco BEER & MARCHEさんは、ソムリエで、葡萄や植物全般にお詳しく、野菜の固定種、在来種の保存・継承に大変感心が深い方です。お店にたねBOXを置きたいとのことでしたので、私の自家採種の種をギフトさせていただきました。今後も応援しています。」
このように、人と人とのつながりが生まれていくのも、Share Seedsの活動の良いところです。
「たね」から何か育ててみようかな?と思ったら、たねBOXを訪ねてみてはいかがでしょうか。「たね」が成長していく姿を想像しながら飲む「Kanoco BEER」は、きっと格別だと思います。
【Kanoco BEER & MARCHEさんへのアクセス】
神奈川県川崎市麻生区百合丘3-24-36-101
小田急線新百合ヶ丘駅南口より徒歩16分
小田急バス「第一団地前」から徒歩3分
12:00〜18:00 木・金・土曜日のみ営業、不定休あり
※お出かけの前に、最新の営業スケジュールをご確認ください。
Kanoco BEER & MARCHEさんのFacebookページはこちら
Kanoco BEER & MARCHEさんのブログはこちら
【Share Seedsの活動について】
・「ありがとう」で広がる固定種の交換会!「Share Seeds」をやってみた
・Share Seedsのサイトはこちらから