自然農法の野菜を扱う「その町のほんの小さな八百屋 まる然」さんは、実店舗を持たずにお店の軒先などで販売されています。「まる然」さんと知り合ってから、こんなに素敵なお二人が出店しているお店もきっと素敵なところに違いない!行ってみたい!という気持ちが強くなったので、訪ねてみることにしました。
今回伺ったのは、神奈川県相模原市にある玄米食堂「里玄米」さん。JR相模線上溝駅から徒歩35分と、少し距離がありますが、近くまでバスで行くこともできます。
ゆったり過ごせる雰囲気のお店で玄米ランチをいただきながら、店長の中里さんにお話を伺いました。
里玄米さんの入り口。ちょっと奥まったところにあるので、「里玄米」と「ろばた焼 里」の看板を目印にして行くとわかりやすいです。
「倖素玄米」のランチをじっくり味わいます!
里玄米さんは12:00〜15:00のランチ時間帯のみ営業されていて、メニューは基本的に日替わりランチ1種類というシンプルなスタイルです。
取材に伺った日(2020年9月)のランチプレートはこちら。
【メニュー紹介】※左上から時計回り
- ツルムラサキと紫タマネギの梅酢ドレッシング和え
- 自家製おからのポテトサラダ風
- パパイヤの塩麹炒め
- トウガンの豆乳グラタン風
- ゴーヤとナスの揚げ浸し
- ラッキョウとパパイヤの塩漬け
- 倖素玄米ごはん
「倖素玄米」とは、塩と小豆を混ぜて炊いた玄米を3日ほど寝かせたものです。「寝かせ玄米」などいろいろな呼び方がありますが、里玄米さんでは「倖」の字を使って「倖素玄米」と呼んでいるそうです。
玄米はちょっと固くて食べにくいイメージがありましたが、この倖素玄米は柔らかく、もちもちの食感に感動!噛めば噛むほどに、深い旨味を感じられます。
おかずは自然農法や有機栽培の野菜を主に使っているとのことです。愛川町の「わんぱく自然農園たむそん」からも野菜を仕入れているそうで、この日のメニューではラッキョウやツルムラサキなどが「たむそん」さんの野菜だと教えていただきました。
どのおかずもすごく丁寧に作られていて、酸味、塩味、スパイシーさ、まろやかさなど、一つ一つ異なる繊細な味わいを楽しむことができます。何度でも食べたくなるおいしさでした。
そんな里玄米さんのファンになっている方も多いようで、この日もグループで来られた方々が、お食事とおしゃべりを楽しんでいらっしゃいました。
食材と、それを育ててくれた人や料理してくれた人に感謝しながら、一口ずつじっくり噛みしめて食べるランチ。食の楽しみや喜びを強く感じることができた時間でした。
白砂糖・卵・牛乳・バターを使わないヴィーガンマフィンも販売されていて、店内で食べることもできます。この日は栗のマフィン。渋皮煮が丸ごと乗っていて、栗のペーストも入っている贅沢なスイーツです。(2020年9月撮影)
里玄米さんの「食」に対する想い
店長の中里介山さんは、気さくで温かみのある人柄でお客さんから慕われています。そんな中里さんにお話を伺いました。
ーー玄米に注目したきっかけは、どんなことだったのでしょうか?
中里さん:以前に、自分の体の不調をかなり感じていた時期がありました。全く疲れがとれなかったんです。そのときに「玄米菜食」を始めたら、体調が劇的に改善しました。その経験があったので、他の人にも玄米の良さを知ってもらいたいと思うようになりました。
ーー私は、「玄米ってなんとなく健康に良さそう」と思っていましたが、実際にはなかなか食べる機会がありませんでした。里玄米さんで玄米のおいしいランチをいただいたことで、その魅力を知ることができたと思います。
中里さん:「玄米の良さを知れば世界が変わる」というメッセージを伝えたくてこの店を始めたので、そう言ってもらえると嬉しいです。「食」の仕事は、メッセージを伝えることだと思っています。
ーー「食を通してメッセージを伝える」というのは、とても素晴らしいことだと思います。
中里さん:特に、子どもたちに伝えたいですね。玄米のことや食のことなど、まだ知らないことが多いはずなので。早いうちに伝えたいです。
玄米を炊いた当日に食べると、100回以上は噛まなければいけないといわれています。玄米は繊維質が豊富なので、よく噛まずに飲み込むと、胃の仕事が追いつかなくなってしまうんです。「倖素玄米」なら、噛むことをそこまで気にしなくても召し上がっていただけます。その理由を詳しく知りたい方は、お店でお話ししますので、聞いてくださいね。
もちろん、ゆっくり噛んで食べる方が、優しく栄養が吸収されるので良いですよ。
ーー確かに、「倖素玄米」はもちもちして食べやすかったです。
中里さん:あとは、玄米はおいしいのでぜひ食べてみてください、とみなさんに伝えたい。ごはんだけではなくて、お店で出している「玄米珈琲」もおすすめですよ。玄米を炒って作っています。
ーー玄米珈琲も飲んでみます!今回はご協力ありがとうございました。ぜひまた伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。
中里さんおすすめの玄米珈琲(黒炒り玄米茶)。優しい香ばしさがじんわりと染みわたります。飲み終わったらポットに残った玄米をすくって食べると、それもまたおいしい!(2020年9月撮影)
まる然さんから見た、里玄米さんの魅力とは
里玄米さんの店内で野菜を販売されていた「まる然」代表の尾崎将太さん(以下、しょうたさん)にも、お話を伺いました。
ーーどのようにして、里玄米さんのことを知ったんですか?
しょうたさん:愛川町の「わんぱく自然農園たむそん」さんで出会いました。僕が援農をしていた頃、「わんぱくホリディ!」というイベントに、里玄米さんが倖素玄米おむすびを販売しに来てくださっていたんです。
そこからご縁がつながって、「まる然」をスタートするときに、お店の一角を貸してもらえることになりました。まる然の最初の1日は、里玄米さんでの出店だったんですよ。
ーーしょうたさんにとって、里玄米さんの魅力はどんなところですか?
しょうたさん:「人の健康のことを想って商いをしている」というところだと思います。嘘偽りがないし、考えていることの軸がしっかりしているから方針がぶれないんですよね。だから信頼して食べに来ることができます。
ーー里玄米さんの想いに共感するお客さんが集まってくるということですね。
しょうたさん:そうですね。お店が開いている時間が短くても、その時間に合わせてちゃんとお客さんが来てくれる。メニューが1種類でも、みなさん満足しているんです。商売のやり方としても、すごく理想的だなと思っています。
ーーありがとうございました。まる然さんと知り合えたことで、里玄米さんという素敵なお店にも出会えて、とても嬉しいです。これからもよろしくお願いします!
この日のまる然さん。ピーマン、ナス、オクラなど自然農法の野菜がずらりと並びます。ランチを食べに来たお客さんも興味津々で、次々に買っていかれました。(2020年9月撮影)
おわりに
里玄米さんに伺って感じたのは、店長である中里さんの強い想いが中心にあり、そこに惹かれて集まってくる人たちがいるからこそ、こんなにも居心地の良い空間ができあがっているんだということでした。
普段、ランチは短時間でササっと済ませてしまい、楽しむヒマもないという方もいらっしゃるかもしれません。でも、もし時間があるときは、里玄米さんのランチをゆっくり食べに行ってみてはいかがでしょうか。食べる喜びを実感すると、穏やかで満ち足りた気持ちになれると思います。
【里玄米さんへのアクセス】
神奈川県相模原市中央区田名5246-7
JR相模線上溝駅から徒歩35分
神奈川中央交通「田名バスターミナル」から徒歩5分
12:00~15:00 月、火曜日定休