野菜に触れ、食べながら不耕起栽培を考えよう!藤沢で「ゆうのうえん」さんのお野菜教室

野菜に触れ、食べながら不耕起栽培を考えよう!藤沢で「ゆうのうえん」さんのお野菜教室

「自然栽培」や「不耕起栽培」などの言葉を聞く機会があっても、どういう農法なのか、何がどう良いのか、よくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回、Green Rhythm代表のコジマが、不耕起栽培についてわかりやすく解説してもらえるワークショップに参加してきました。
教えてくださったのは、神奈川県藤沢市で無農薬・無化学肥料の不耕起栽培に取り組む「ゆうのうえん」の宮本陽子さん(以下、陽子さん)。ワークショップのレポートをお届けします。

野菜はなぜ育つ?土の中から考える

ワークショップのテーマは「不耕起栽培のなぜ?がわかる ゆうのうえんのお野菜教室」でした。
陽子さんのご出身は鹿児島県。農家に生まれ、小さい頃から畑のお手伝いをしていたそうです。大人になって小学校の教員になり、子どもたちに植物のことなどを教えていく中で、現代の社会や農業のあり方に疑問を感じるようになったといいます。
出産後、藤沢市で自然栽培を行う「コトモファーム」さんや、茅ヶ崎市で不耕起栽培を行う農家さんに学び、2021年11月に「株式会社ゆうのうえん」を立ち上げました。

講演する陽子さん

講演する陽子さん。カラフルでかわいらしいイラストはご自分で描かれています。(2022年3月撮影)

陽子さんが掲げる「ゆうのうえんのミッション」は、以下の3つです。

  1. 環境と共生する土壌づくり
  2. 鎌ひとつでラフに始める野菜づくり
  3. 気候危機を理解し行動する仲間づくり

野菜づくりのためには、まず大切なのが土づくり。野菜を育てられる条件が整っているのは土の表面から深さ15cmほどまでであることや、植物と土の中の微生物が共生関係にあることなどを、写真やイラストを交えながらわかりやすく説明していただきました。

特に興味深かったのは、小学校の理科の教科書に載っている実験の話です。
その実験では、「日光を当てる/当てない」、「肥料をあげる/あげない」という条件の違いによって、植物の成長がどのように変わるのかを調べます。教科書に書いてある「結論」は、「日光を当てて肥料をあげた植物が一番大きく育つ。つまり、植物の成長には日光と肥料が必要」ということでした。

ところが、実験してみると、肥料をあげてもあげなくても、成長はあまり変わらない場合が多かったそうです。ちなみに、この実験で使用する肥料は、一般的な化学肥料でした。
「植物の成長には本当に肥料が必要なんだろうか?それを『正解』として子どもたちに教えていいんだろうか?」という思いが、陽子さんの活動の出発点になったそうです。

たねの姿も、野菜のおいしさも、体験して学ぶ

ワークショップでは、野菜について楽しく学べる仕掛けも用意されていました。
たねを見て何の野菜か当てるクイズでは、形も色も違う4種類のたねが登場。参加者全員が真剣に見入っていました。特に注目を集めたのはニンジンのたね。野菜としてのニンジンは普段から目にしていても、たねは初めて見るという方が多かったです。

キュウリの種

こちらはキュウリのたね。この小さなたねが人の手によって運ばれたことで、野菜は世界中に広がっていったそうです。(2022年3月撮影)

最後は、ゆうのうえんさんのニンジンをその場で調理してもらい、試食タイム。
生でそのまま食べても「すごく甘い!」「味が違う!」と大好評でした。

ゆうのうえんのニンジン

見た目からパワーを感じられるニンジン。(2022年3月撮影)

生の味を確かめたら、オリーブオイルで蒸し焼きに。シンプルな調理方法だからこそ甘みと香りが引き立ち、大人も子どもも夢中になって食べました。

ニンジンのオリーブオイル焼き

できあがりは目にも鮮やか。火を通しすぎないのがポイントです。(2022年3月撮影)

野菜について学ぶなら、味を知ることに勝るものはありません。おいしさを実感して、より理解が深まったワークショップでした。

まずは「知ること」から、自分なりのベストを探してほしい

「ゆうのうえん」という名前には、「U KNOW EN」という意味が込められています。「知ること」を大事にしたいという思いからです。
ゆうのうえんさんのミッションは、土をつくり、野菜を育てることに加えて、それを他の人に伝えて仲間を増やすこと。最新の科学の知見をわかりやすく噛み砕き、ワークショップで伝える活動をしているところが素晴らしいと感じました。
明るく前向きな陽子さんのおかげで、肩肘張らずに誰でも参加して楽しめます。

今回のワークショップには、普段から無農薬の野菜を買っている方や、ご自分で畑を借りて野菜を育てている方が集まっていました。印象的だったのは、参加者のお一人が「不耕起栽培に興味のある人がこんなにいるなんて初めて知った」と嬉しそうにおっしゃっていたことです。
自然栽培や不耕起栽培はまだまだ広まっていないのが現状です。深く調べたり、自分で取り組もうとしたりしても、周囲の理解が得られないなど、不安になってしまうことも多いのではないでしょうか。
こうしたワークショップで仲間と出会うことができれば、活動を続けていく原動力になるのだと感じました。今後も、ゆうのうえんさんの活動の輪がどんどん広がっていくことを期待しています。

マルシェ出店時のゆうのうえん

マルシェ出店時の、ゆうのうえんさん。プラスチックの個包装を使わずに販売するため、野菜に水気を与えるなど細かいところまで配慮されています。(エコパパマルシェにて、2021年11月撮影)

今回の取材にご協力いただいた、ゆうのうえんさんのサイトはこちらから。
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ワークショップ会場「エコストア パパラギ」

エコストア パパラギさんの外観

小田急線・JR東海道線藤沢駅から徒歩4分。人と自然に配慮した雑貨や食品を取り扱う「プラスチックフリー・量り売り」の専門店です。
2022年より、イベント用スペースとしてお店の2階の貸し出しが始まりました。これまでにも、環境問題をテーマにした上映会や、布ナプキンやアロマづくりなどのさまざまなイベントが開催されています。
詳しくはWebサイトをご覧ください。
参加者・主催者共に募集!ワークショップ | エコストア パパラギ

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