川崎で肉厚キクラゲとたんじゅん野菜の直売!「ヘヴンリーファーム」さん

川崎で肉厚キクラゲとたんじゅん野菜の直売!「ヘヴンリーファーム」さん

神奈川県川崎市に、脱サラして農業を始め、キクラゲの栽培室や直売所も自分で作ってしまったという素敵な農家さんがいらっしゃいます。
小田急線鶴川駅から徒歩23分の場所に直売所を構える「ヘヴンリーファーム」さんです。
代表の高松克行さん(以下、カッツさん)に、キクラゲのことや、野菜を育てるときの工夫などをお聞きしてきました。

ヘヴンリーファームさんの直売所

ヘヴンリーファームさんの直売所。建設業の倉庫だった場所をご自分で改装したそうです。(2020年10月撮影)

工夫と気配りで生み出されるプリプリのキクラゲ

キクラゲは中華料理などに入っているイメージがありますが、どうやって育てられるのか見たことがない方も多いのではないでしょうか。
ヘヴンリーファームさんでは、直売所のすぐ近くにキクラゲの栽培をしている部屋があります。室内に入らせていただくと、棚にキクラゲの「菌床」がずらりと並んでいました。

自然では枯れ木などに生えるキクラゲですが、栽培するときは枯れ木の代わりに、おがくずを固めた「菌床」と呼ばれるブロックを使います。
菌床にキクラゲの菌を植え付けて、温度や湿度をちょうど良い状態に保っておくことで、キクラゲが成長していくのです。

菌床からキクラゲが生えている様子

菌床からキクラゲが生えている様子。ここからまだまだ大きくなります。(2020年2月撮影)

キクラゲ栽培は、カッツさんにとって未経験からのスタートでした。菌床を置くための棚や、湿度を保つためにタイマーで水をまく装置などは、試行錯誤しながらご自分で材料を揃え、組み立てていったそうです。
常にキクラゲの成長を見守り、どうやったらもっとうまくいくかを考え、実践しているカッツさん。より良いものを作りたいという想いが、おいしいキクラゲを育てているんだと感じました。

ヘヴンリーファームさんの直売所では生キクラゲと乾燥キクラゲの両方を販売しています(時期によっては店頭にない場合もあります)。もし生キクラゲがあったら、ぜひとも食べてみてください。
プリプリした歯ごたえに、ジューシーな食感。料理の中で主役級の存在感を放つキクラゲには感動しますよ!「炒め物に入っているちょっとした脇役」という考えは覆ると思います。

ボリュームのあるキクラゲ

ボリュームのあるキクラゲ。運が良ければ、珍しい「白キクラゲ」にも出会えるかもしれません。(2020年2月撮影)

野菜を育てるのもキクラゲがお手伝い!

ヘヴンリーファームさんでは、キクラゲ以外にもさまざまな野菜を栽培しています。取材に伺った日の直売所には、ピーマン、ナス、オクラ、カボチャなどが並んでいました。
無農薬・無化学肥料の「炭素循環農法」、通称「たんじゅん農法」で育った野菜たちです。

たんじゅん農法とは、炭素を多く含む資材(木や竹を粉砕したチップなど)を畑の土に混ぜ込む農法です。そうすることで土の中の微生物が活性化して、野菜がよく育つようになります。詳しい説明はここでは割愛しますので、ご興味のある方はぜひ調べてみてください。

カッツさんがたんじゅん農法を知ったのは、川崎と長野県の安曇野で二拠点生活をされている「師匠」との出会いがきっかけでした。2019年に脱サラしたときに、師匠に教わりながら、本格的にたんじゅん農法に取り組むようになったそうです。

ヘヴンリーファームさんの畑には、木や竹のチップの他に、キクラゲを育て終わった菌床が入っています。菌床には菌がたくさん住んでいるので、分解が早く進むのだそうです。
おがくずで作られた菌床を土に還すことで、ゴミを出さないだけでなく、土がより良くなります。キクラゲと野菜がうまく結びついているのが素晴らしいですね。

畑に積まれた菌床

畑を見せていただくと、ところどころに菌床が積まれているのを目にします。(2020年10月撮影)

カッツさんは、「たんじゅん農法は、自然の力で窒素を生み出す方法」だといいます。植物の成長に欠かせない栄養である窒素を、微生物の力で生み出すことに意味があると考えているそうです。
「お客さんからは、うちの野菜は味も良いし、長持ちすると言ってもらえるんだよ。化学肥料で不自然に窒素を与えてしまうと、野菜の成長は早いけど傷みも早い。でも、たんじゅん農法で育てた野菜は違う。それをわかってくれる人たちが、買いに来てくれるんじゃないかな」と、嬉しそうに話してくださいました。

廃材を有効活用!おしゃれでほっとする直売所

ヘヴンリーファームさんのすごいところは、キクラゲとたんじゅん野菜だけではありません。直売所を「野菜を売る場所」というだけでなく、何度でも訪れたくなるような居心地の良い空間にしているところです。

キクラゲの栽培室と同じように、カッツさんが試行錯誤しながら作った直売所は、木の素朴なぬくもりが感じられます。
外観だけでなく内装も、ほとんどが手作り。床を張り、棚を取り付け、野菜を置く木箱やテーブルも自作したそうです。

「近所でもらってきた廃材を使ってるから、材料費はほとんどかかってないよ」と笑うカッツさんですが、費用を安く抑えることが目的ではなく、「お客さんに喜んでもらえる場所を自分の手で作り上げること」にやりがいを感じているのが伝わってきました。 ご本人が楽しみながらやっているから、直売所を訪れるお客さんも楽しい気分になるのだと思います。

カッツさんが自作したテーブル

こちらのテーブルもカッツさんが作ったもの。廃材が見事な作品に生まれ変わっています。(2020年10月撮影)

コジマが参加しているコミュニティ農園「EdiblePark茅ヶ崎」のメンバーも、ヘヴンリーファームさんの直売所に行ったことがあります。感想を聞いてみると、「カッツさんはとにかくセンスが良いし、お話がおもしろい。また会いたいから、直売所に行きたいって思うよね」とお返事をいただきました。
おしゃれで楽しくて、どこか懐かしくて、ほっとする。ヘヴンリーファームさんが醸し出す雰囲気は、カッツさんの人柄そのものかもしれません。

おわりに

ヘヴンリーファームさんの直売所は、2020年11月7日に1周年を迎えます。この先はどんなことを目指していますか?とカッツさんに伺ってみました。

「今は野菜作りがメインだけど、畑という意味だけのヘヴンリーファームじゃなくて、助け合って生活できるところにしたいと思ってるよ。農に関わる生活を通して、働く僕らも成長できるような。なんだか働きづらい世の中みたいだけど、その中でも安心して働ける会社を作りたいっていうのが僕の野望かな」と、楽しそうに語るカッツさん。一緒に働く方々を思いやりながら、ずっと先のことまで考えている様子が伝わってきます。

「農家」という枠だけにとらわれないヘヴンリーファームさんが、これからどのように発展していくのか、ますます楽しみになりました。


【ヘヴンリーファームさんへのアクセス】
神奈川県川崎市麻生区岡上1025
小田急線鶴川駅南口より徒歩23分
10:00〜16:00 火・水・木・土曜日のみ営業、不定休あり

※お出かけの前に、最新の営業スケジュールをご確認ください。
ヘヴンリーファームさんのFacebookページはこちら
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